三河ベイサミット’89決議文

平成元年10月13日 決議

三河湾…その限りなき未来のため今!

 知多、渥美両半島に抱かれ、波静かな三河湾は、古来より風光明媚、白砂青松の地として地域住民に愛されてきた海であり、多くの恵みを産む母なる海でもあった。
  しかし、時代の流れとともに、三河湾のその美しい姿も変わりつつあり、近年では水質の悪化による赤潮、苦潮等が随所に見られ、かつての美しく、恵み多き三河湾が失われようとしている。
  これは、湾口部が狭く、外海と海水が入れ替わりにくいことに加え、潤内の開発や人口の増加、生活環境の変化等の種々の要因が重なり生じた結果であり、益々悪化の傾向にあると言える。
  美しい三河湾を再び取り戻し、その海を利用してその恩恵を引き出しつつ豊かで恵まれた環境、生活を創造することが今に生きる我々の使命であり責務である。
  今回、我々が地域や行政の枠を越え、行政を預かる全ての沿岸首長が一堂に集い、共有の財産である三河湾の限りなき未来のため、共に語り、共に考え、共に実践するための機会を得たことは非常に意義あるものと考える。
  ここに、我々はウォーターフロントを持つ自治体としての責務を念頭に置きながら、開発と保全の調和の取れた魅力ある三河湾を創造するため沿岸自治体が連携し幅広い活動を展開していくことを確認した。
  今、我々は三河湾の未来に向け次のとおり決議する。

  1. 三河湾の浄化について
     海洋性レジャー、リゾート構想の推進、漁業の振興等において、三河湾の恵みを享受するために欠くことのできない海の美しさをとり戻すため、水質の浄化につとめる。
      このため、国・県へ海域浄化施策や下水道整備事業の促進、合併浄化槽の普及促進を働きかけるとともに、各自治体での独自の事業促進は勿論のこと、さらに生活排水、産業排水の水質向上のため、沿岸自治体が一体的な取り組みを進め、浄化意職の高揚を図る。
  2. 交通アクセスについて
     湾内開発の進展とともに、増大する交通需要に対応するため、陸海空の交通アクセス機能の強化充実を図り、地域間のネットワーク化を推進する。
  3. リゾート整備について
     全国各地で様々なリゾート計画が進展中であるが、三河湾地域はすぐれた自然条件と恵まれたレクリエーション資源の集積があり、リゾート地として高い可能性を秘めているので、一体的なリゾート地域として総合保養地域整備法の指定を得るため地域間で調整を行い計画の推進を図る。
  4. ウォーターフロントの開発について
     地域住民が海とふれあい、海に親しめるよう自然環境と調和のとれた親水性の高い沿岸形成のため、海洋環境整備を積極的に推進する。
  5. 海洋性レジャー進展への対応について
      余暇活動の活発化、多様化に対応した海洋性レジャーの高まりに対し、マリーナ等、海洋性レジャー基地やレクリエーション基地の整備についての検討を進める。
  6. 漁業の振興について
     近年の湾内の漁場環境は赤潮等の発生の多発化、長期化がみられ厳しい状況にあり、従来にも増した漁場環境の保全策を講じるとともに、限りある漁業資源に対し、とる漁業からつくり育てる漁業への転換を進めていく。
  7. 港湾機能の向上について
     衣浦港、三河港においては輸送のコンテナ化などに対応した施設の高度化を図り、物流港としての一層の飛躍をめざすとともに、新たな埋め立て、コンベンション機能等についても検討を進める。
  8. 自然環境の保全について
     三河湾国定公園の恵まれた自然景観を後世に残すため、各種の開発にあたっては、既存のすぐれた自然景観等破壊することなく、自然と調和のとれた秩序ある開発を行い、真に保護すべき自然は一致協力して保全に努める。
  9. 三河湾浄化推進組織について
     地域住民共有の財産である三河湾の浄化のため、国・県並びに沿岸自治体を中心として「三河湾浄化推進協議会(仮称)」を設立する。

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