三河湾では、春から夏にかけて赤潮や苦潮の発生頻度が高くなり、水産物への被害が生じることがあります。
次の図は、赤潮と苦潮の発生件数を示したものです。
赤潮の発生件数は、平成3年度以降、年間20件前後の間で推移しています。
三河湾の赤潮発生件数は東京湾や大阪湾とほぼ同じです。赤潮の発生要因となる汚濁負荷は、背後の大都市圏を抱える東京湾や大阪湾の方が大きいことから、三河湾が非常に汚れやすい湾であることがわかります。
赤潮とは、プランクトンの異常増殖により海水が変色する現象のことです。川から海域に窒素やりんが過剰に流れ込み、富栄養化を引き起こすとプランクトンが異常増殖し、赤潮が発生します。大量に発生したプランクトンは、水中の酸素を大量に消費したり、魚のエラに詰まるなど、しばしば魚介類に大きな被害を及ぼします。
苦潮とは、海水が青白色から青緑色ににごる現象のことです。海底に堆積した有機物をバクテリアが分解するときに大量の酸素を使い、海底付近に酸素の少ない層ができます。苦潮は、この層が風などの影響で沿岸まで上昇してくるときに発生します。生物の生存に必要な酸素が少なくなり、更に有毒な硫化水素が発生するため、海水中の生態系に大きな被害をもたらします。